アーティストのChamiさんが水城作品を4作、英訳してくださいました。
To the One Who Pray ——「祈る人」日本語
Blue Sky, White Clouds ——「青い空、白い雲」日本語
Firefly ——「蛍」日本語
On the Way Home ——「帰り道」日本語
水城さんの言葉は、丁寧に選んであってとても意味が詰まっていて、英訳するのは大変ですが、深く詩を感じるきっかけになります。お会いしてみたかったです。—— by Chami
「青い空、白い雲」「蛍」「帰り道」は2021年4月4日に柿生・可喜庵にて開催されたChamiさんとゼミ生・松倉福子さんによる「春の音楽会」で取り上げていただきました。
これは全世界同時ライブ配信され、外国人の方たちも視聴予定だったため、事前に英訳をご用意くださったとのことです。
Chamiさんによれば、みなさまから「英訳を読みながらも十分音楽会を堪能できた」と言っていただいたとのことでした。
ご丁寧な対応に深く感謝いたします!
Chamiさんの言葉とありように感銘を受けた野々宮は、図々しいと思いながらもさらに「祈る人」の英訳をお願いしたところ、快く引き受けてくださったのでした。
「祈る人」にまつわるエピソード
この機会に、「祈る人」の詩にまつわるエピソードを書き残しておきたいと思います。
この詩は2007年頃に書かれ、2008年1月発行の私家版「祈る人」に掲載。その後2010年1月付け(実際は2009年11月)で「水色文庫」に掲載されました。
水城は「祈る人」プロジェクトというのを構想し、それに乗って私たち現代朗読協会ゼミ生も、ことあるごとに「祈る人」を朗読しました。
2010年4月、縁あって現代朗読協会は、桜の開花とフェスシーズンの到来を祝う場として毎年代々木公園で開催されている「SPRING LOVE 春風 2010」に出店しました。
開催期間中は現代朗読ミニワークショップや、個別相談?などのほか、一日のうち数回フェス会場を「祈る人」を読みながら練り歩いたり、路上朗読をするというミニイベントをおこないました。
フェス終了間際、最後のパフォーマンスをやっていたときのことです。
一人の青年が乱入してきました。
彼は私たちに向かって、「そんなんじゃだめだ! 祈りとか甘っちょろいこと言うな!」と喚きました。
野次馬や怯える人たちに取り囲まれながら、彼の話をただ聞きました。
(共感的コミュニケーションを知らなかったら、そのように聞くことはできなかったでしょう)
やがて彼は、「おれはパレスチナに行ったんだ……でも何もできなかったんだ……」と泣き出したのです。
今思い出しても涙が出ます。
「祈る人」は、何もできないと思っている私たち、でも実は大きな力を持っている私たちのための詩だと思っています。
この詩が英訳されたことは、実に大きな意味のあることだと思わざるをえないのです。
Chamiさん、ありがとうございました!
この深いうめきと、それでも祈り続けるという人間であるという生き方が、英語圏の人々にも伝わりますように—— by Chami