三日後に迫った公演「白い月、あるいは鳥の歌」のチラシのために書いた原稿を公開する。
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もちろんすべてというわけではないが、近年、カルメン・マキが非常にアグレッシブに音楽的挑戦をつづけているのを見てきた。
「これは」という演奏家やアーティストを見つけると、大胆にアプローチし、共演を持ちかける。とくにジャズの演奏家が多く、カルメン・マキの音楽にたいする要求はとどまることがないように見える。みずからが進化する、変わりつづけることを音楽活動のデフォルトにすえているかのようだ。
それにたいし、「時には母のない子のように」やOZ時代のイメージに固執し、いまだに引きずってそれを求める観客の「変わらなさ」について、ときにはあからさまないらだちを見せることもある。
「私は変わりつづけている。そもそも人は二度とおなじことはできないのだ。昨日の私と今日の私はこんなにも違う。それを見て、聴いてほしい」
という強いメッセージを感じる。それを受けての今回の「白い月、あるいは鳥の歌」である。
進化をつづけるカルメン・マキの「いま」の魅力をどう伝えられるか。それに加えて、これまだ進化しつづけている現代朗読の野々宮卯妙の魅力も引きだし、相乗効果を生むようなステージにしたい。演出担当として欲張りすぎなのではないかと思うが、なにかまうものか、キッド・アイラックというホール空間でなにが起こるのか、進化進行中の表現者ふたりとともに楽しめばいいではないか、というのが無責任な私の今回の姿勢である。
内容は聴いてもらってのお楽しみ。メッセージ性の強いものとなっているが、そんなこととは別にご来場のみなさんには先入観を真っ白に捨てて聴いていただけたら幸いである。
本日はご来場いただきありがとうございました。
(水城ゆう/ピアニスト、小説家)
「白い月、あるいは鳥の歌」
演目(予定)当日変更することもあります
「白い月」作・萩原朔太郎
「暗い夜明け」作・吉原伸
「もう軍備はいらない」作・坂口安吾
「戦争は知らない」作・寺山修司
「彼は眠らない」作・水城ゆう
「移行」同
「鳥の歌」同
「初霜」同
ほか
出演
カルメン・マキ 歌/朗読
野々宮卯妙 朗読
高崎梓 群読/身体表現
町村千絵 群読/身体表現
水城ゆう キーボード演奏
演出・構成
水城ゆう
照明・音響
早川誠司(キッド・アイラック・アート・ホール)
協力
現代朗読協会