表現を楽しむ〜現代朗読における「評価」

人前で発表しよう!

2014-11-24yoncha02最近あちらこちらで開催が増えている「オープンマイク」。申しこめば(飛び入り可のところもあり)誰でも出演できるライブです。

ポエトリー・リーディング(詩の朗読)はこの形式がもともと多いようです。朗読、歌や楽器演奏はもちろん、コントや即興演劇、講談や謡やマジックなど、ジャンルを問わず受け入れるオープンマイクもあります。

テキストはあっても表現は即興を旨とする現代朗読は、オープンマイクとはとても相性が良いようです。オープンマイクを片っ端からチェック、あちらこちらで常連となっているげろきょ(現代朗読協会)メンバーもいます。

当初は主催者がお店と交渉して場を借りて開催するオープンマイクが多い印象でしたが、昨今はお店主催のオープンマイクも増えてきました。

現代朗読協会では、協会主催のオープンマイクや、ネットライブパーティを不定期に開催しています。

 

「出るのが怖い」?

初めての出会いに新鮮な刺激をもらい、常連になれば交流の楽しみがあり……いろんな人が集まるごった煮感がとにかく楽しい発表の場。

2015-08-30-18-31-44しかし、出るのを躊躇する人が多いのも事実……。

その理由の9割以上が、「うまい/へた」「正しい/間違っている」「良い/悪い」など、(その間に何段階もあるとしても)0点と満点がある「評価・判断(ジャッジメント)」を恐れるから。

しかもそれは、自分ではなく他の誰か(たとえば観客、教師、権威者、親……)が決めた基準なのです。が、それに(慣れすぎていて)気づかぬまま、評価を前にして人は表現をためらうようになっていくようです。

もし外部評価がなかったら? まだ人の目を気にすることのなかった子どものように、のびのびと表現できたら、どんなことが起こるでしょうか?

人が最大のパフォーマンスを発揮できるときは、身体がほどよく緊張し、同時にリラックスしている状態であることが、近年の研究でわかってきました。マインドフルな集中があり、周囲の状況を受け入れ、自分自身への注目があり……いずれにせよ外からは、のびのびと楽しそうな状態に見えることでしょう。

表現をするなら、プロだろうとアマチュアだろうと、そんな状態で、そのときの自分にできる最高のパフォーマンスをしたいと思いませんか。

 

のびのびと表現するための「仕掛け」

人は評価を求めます。が、それはこれまで、良し悪しなどの外部基準に則った評価方法しかないと思っているからで、本当に欲しいのは、見ている人自身の素直な反応・フィードバックではないでしょうか。少なくともげろきょでは、そう考えていて、またそれに勇気づけられています。

現代朗読のエチュード(練習)のひとつに、「イメージ感想」があります。このエチュードをやると、滑舌やイントネーションや読み間違いなど表面的なことに目を向けている暇はなくなり、朗読の聞き方がおのずと「共感的」に変わります。共感的コミュニケーションを知らない人も「共感」できる、簡単なのにとてもステキな方法です。

このエチュードを応用して、現代朗読協会の発表の場では、一人一人のパフォーマンスごとに「味わい」アンケートをお願いしています。

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他者のパフォーマンスを見て、それを味覚で表現するというアンケートです。そのアンケートに答えようとすると、「自分」が何を感じたか、受け取ったかを味わう必要があります。

しかし、次々とパフォーマーが登場するので、ゆっくり考えたりする時間はありません。それが直感を磨く練習になります。観ているだけでアーティスティックなセンスを養えてしまうので、ここはぜひ、考えこまずに素早く書くことを心がけてみてください。観る人も表現しているのです。

「真剣に観る・鑑賞する」練習にもなります。これすなわち、その瞬間そこにいること(presence)ができているということで、マインドフルネスの練習にもつながるものです。

共感的コミュニケーションの観点からは、他者をジャッジせず自分とつながる行為を促すことから、おのずと「共感」練習になってもいます。

パフォーマーにとっては、外側から良し悪しの評価(ジャッジ)をされない安心な場になり、実力を発揮しやすくなります。

アンケート用紙はパフォーマーへのお土産にします。あとでゆっくり、人が自分のパフォーマンスをどのように受け取ったかを、自分も味わうことができます。それは「共感」を受け取る練習でもあります。

出演すれば稀有なフィードバックがもらえ、出演しなくても共感のまなざしで素直に楽しめる、それが現代朗読のステージがめざす世界です。

◎「共感」とはなにか、「共感的コミュニケーション」に興味をもたれた方は、音読療法協会NVCジャパン・ネットワークで開催している勉強会や講座を覗いてみてください。

 

「味覚」のレーダーチャート式アンケート

openmic_radarchart生理学的には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つが基本味とされているそうですが、アメリカ人は甘い・辛い・すっ塩辛い、中華料理や漢方では辛(辣)・甘(甜)・酸・苦・鹹の五味、日本人はこれに渋味、旨味を加えて七味、などなど、味の種類には諸説あります。

げろきょでは「甘味、酸味、塩辛味、苦味、旨味、渋味」の六味をセレクト、それぞれ5段階にしたレーダーチャートをアンケートにしました。

もうひとこと伝えたいときは、「思い浮かんだもの・イメージ」を。

評価の言葉を書く方もたまにいらっしゃいますが、ほとんどの方がこのアンケートを楽しんでくださいます。

傷つけあうことなく、正直な、共感的なつながりを育んで、楽しくのびのびとした表現を楽しみましょう!

(文責・野々宮卯妙)

げろきょ式レーダーチャートアンケート用紙(A4に8枚レイアウト)を
こちらのボタンからダウンロードしてお使いいただけます。
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