横浜ホッチポッチ・ミュージックフェスティバルが終わった

昨日の未明から風邪を引きかけていて、本当は昨日一日ゆっくり休めればよかったのだがそうもいかず、無理してしまったおかげで、今朝になっても案の定体調は回復していない。
低空飛行のまま、風雨が激しく気温もあがらない横浜へと出かけることになった。

豪雨のなか、昼前に羽根木の家に行き、演奏・音響・撮影機材の準備。
幸い、ゼミ生の平田くんが運搬の手伝いに来てくれたので、重い荷物を持ってもらって、いざ横浜へ。
井の頭線から渋谷のめんどくさい東横線への乗り換えを経て、冷たい雨の降りしきる神奈川県庁前の特設会場へ、1時間半の道のり。

出演のゼミ生たちが集合して、みんな元気そう、やる気満々。
7つか8つある会場のうち、大半が雨で中止になり、残っているのは横浜市庁舎とこの県庁前のみ。
プログラムの変更もあったらしい。
お客さんも当然のことながら少ない。

弁当を買ってきて、控え室で腹ごしらえ。
午後3時すぎ、げろきょの前の演目(インド音楽)が終わったのを受け、機材のセッティングに取りかかる。
寒い。
私が陣取ったキーボードの場所には、背後から小雨が吹きこんでくる。
楽器が傷むほどではない雨だったが。

げろきょの群読がスタート。
なんだかやけにお客さんが多いなと思っていたのだが、あとで聞いたらほとんどがこの後の演者のファンたちだったらしい。
サックスの森順治さんがいらして、観てくれていた。
あとで話をうかがったところ、大変おもしろがってくれていた。
それからNVC仲間でかつてコンテンポラリーダンスをやっていたきくあつも来てくれていて、こちらもまた大変おもしろがってくれた。
音楽の人もダンスの人もげろきょのことをおもしろがってくれることが多い(朗読の人はおもしろがってくれないことが多い)。
このパフォーマンスの様子は記録映像の抜粋を近くお送りする予定。

かなりへたってきた。
が、もう1ステージある。
次のステージでご一緒する森さん、野々宮と、近くのカフェに行き、軽く打ち合わせ。
そうこうするうち、バイオリンの金子飛鳥さんも到着した。

6時前に県庁にもどり、6時すぎにふたたび機材のセッティング。
これはフェスティバル全体のオーラスのステージで、トリとなるものだった。
飛鳥さん、森さん、野々宮、私の4人で、即興音楽と朗読のパフォーマンスを、まったくのノーリハーサルでやるという本当の一発勝負のステージだった。
フリーセッションにも関わらず、お客さんはとても集中して観てくれたようだった。
終わってからも「おもしろかった」という声を何人かから聞けてうれしかった。

機材を撤収し、県庁をあとにし、みぞれちゃんが知っている中華街の台湾料理の店に行って、打ち上げ。
私はそろそろ体調の限界で、アルコールはなし。
かなり疲れたが、悪くない一日だった。

さきほど23時、へろへろになりながら帰宅。
このあとバタンと倒れて、明日は体調の回復につとめる。

現代音楽と現代朗読の怪しい夜@中野〈Sweet Rain〉の抜粋

2013年10月16日に中野〈Sweet Rain〉でおこなわれた現代音楽と現代朗読の交流ライブの模様を、記録映像から抜粋してお送りします。

◎コーディネート 中村和枝
◎出演
 野々宮卯妙(現代朗読)
 中村和枝(ピアノ)
 村田厚生(トロンボーン、朗読)
 石塚潤一(ピアノ、朗読)
 木下正道(ピアノ、ノイズ)
 佐藤浩紀(ピアノ)
 水城ゆう(ピアノ、テキスト)
 照井数男(現代朗読)

ののみずしゅんライブ「サラヴァにっぽん」抜粋

2013年10月15日に渋谷〈サラヴァ東京〉でおこなわれた朗読と即興音楽のライブの模様を、記録映像から抜粋してお送りします。
演目は「特殊相対性の女」(作・水城ゆう)、朗読・野々宮卯妙、ヴォーカル・酒井俊、ピアノ・水城ゆう。
音楽と動きはすべて即興。ノーリハーサルでおこなわれた一回限りのセッションです。

現代朗読基礎コース、2014年1月スタート

従来の朗読とはまったく異なったアプローチで驚きを呼んでいる「現代朗読」の考え方と方法を、全10回で基礎からじっくりと学ぶためのコースです。
体験ワークショップからさらに踏み込み、現代朗読の全体像を俯瞰しながら、具体的なプラクティスを多くおこないます。

現代朗読とは、技術や決まり事によってなにか決まった型のようなものを作りあげていくのではなく、意識的にせよ無意識的にせよ「ついやってしまっていること」を自覚し「やめていく」ことによって、本当の自分の表現を再発見していく方法です。
また、朗読とは「作者の代弁者」になることではなく、あるテキストを使って「自分自身を表現する」ことである、という考え方をとっています。

現代朗読を学びに来た皆さんが一様に口にすることばは「目からウロコ」です。
まずはやってみてください。自分が知らなかった自分自身を発見できるでしょう。
同時に朗読という表現行為の奥深さに驚くことでしょう。

つぎのような方におすすめです。
・まったく朗読をやったことはないが、これからなにか表現してみたいと思っている。
・朗読はある程度やったことはあるが、なんとなく物足りなさや違和感を覚えている。
・朗読活動をやっているが、いまいち壁を打ち破れなく困っている。

◎全10回のスケジュール
 2014年1月18日、25日、25日
 2月1日、8日、15日、22日
 3月1日、8日、15日、22日
 いずれも土曜日午前10時半から12時半の2時間

「目からウロコ」の現代朗読の考え方&方法を、教材を用いながら基礎からじっくり学べます。
教材「音読・群読エチュード」(ラピュータ刊/1,890円)

※詳細とお申し込みはこちらから(クレジットカード使用可)。

全10回の内容

基礎コースでは全教程を座学と実技(エチュード)の組み合わせで進めていきます。
動ける軽装でご参加ください。

(1) 朗読という表現行為/表現とはなにか/自分自身を表現するということ
(2) ことば・声/呼吸/姿勢/身体/日常トレーニング
(3) 朗読テキストへのアプローチ/読解力とはなにか
(4) 日本語発音の決まりごと/表現での決まりごとの扱いかた
(5) リズム感/音程感/朗読と音楽/セッション朗読
(6) 演じるのか?/セリフの扱い/朗読と演劇
(7) スリリングな表現者になるための自分自身の理解/表現心理
(8) 群読の楽しみ/エチュードから作品へ
(9) 伝達と表現/伝統的表現/コンテンポラリー表現
(10)唯一無二の表現者になる/朗読者という職業

受講料 45,000円(教材費含む)
定員  10人(定員になりしだい締め切ります)

移行

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Authorized by the author

   移行
              作:水城ゆう

私は木を見るように
あなたを見る
私は木をながめるように
自分をながめる

あなたは揺れている
風に吹かれて木が揺れるように
ときにはゆったりと心地よさそうに
ときには激しく嵐にもまれるように
私もそれを見て
ともに揺れる

灯台のてっぺんをすれすれにかすめて
戦闘機がやってきたとき
臆病な私は
闇夜を飛ぶ蝙蝠のように
ひらひらと逃げまどった

巨大な建屋が水素爆発を起こして
きのこ雲を吹きあげたとき
無責任な私は
死んだ蛇を振りまわす子どものように
きいきいと叫び声をあげた

それをあなたも見ていた

黒々とした巨大な波が壁のように押しよせてきたとき
あなたは幼い子の手を引いて丘の上をめざした
重機で築きあげた長大な岸壁が
豆腐をくずすみたいにあっけなく崩壊するのを見た

ラムネ壜のビー玉は
ビー玉ではなくて
本当はエー玉というんだよ
そんなささいな日常が一瞬にうしなわれて
瓦礫と放射性物質の山におおわれる

あなたの命は
大きな物語のなかに置かれているかもしれないけれど
あなたはもちろん
そんなことを望んではいない
私も望んではいない
あなたも私もささやかな物語を生きたいだけなのだ
それはささやかだけれど
美しい物語で
だれもがお互いを尊重し
しずかに愛しあっている

ひと粒のどんぐりが道ばたに落ちている
だれかがそれを見つけてつまみあげ
ポケットにいれる
しばらくしてどんぐりはポケットから取りだされ
土に埋められる
水分をふくんで
どんぐりはぷっくりとふくれ
皮をやぶって芽を出す
土から顔を出した芽は
光をあびて葉をひろげる
葉は風に揺れ
雨を浴び
光合成で二酸化炭素から炭素を取りだし
かわりに酸素を大気に放つ
どんぐりは風と光を浴びながら
樹木へと成長していく
それがあなただ

あなたは忘れてはいない
ファーストフードチェーン店でできあいのハンバーグをいつも食べなくても
ステーキ専門店で肉汁したたる焼いた牛を食べなくても
隣の畑で採れた季節の野菜と
私が作ったあたたかなスープをいただけば
それだけで充分に幸せであることを

あなたは思いだす
何リットルもの巨大エンジンを積んだ自動車を乗り回さなくても
冷え性になったり風邪をひきそうになるほどエアコンを回さなくても
私と連れだって自転車をこぎ
ベランダに打ち水をしてうちわをパタパタやれば
それなりに充分に楽しいことを

鉄とコンクリートでかためられた巨大な建造物はもういらない
木と土でできた古い家を補修しよう
マンションのために巨木を切り倒すのはもうやめよう
木々に巣箱をかけ鳥たちを呼びもどそう
原子力発電所を動かすのはもうやめよう
不便を楽しむ生活をしよう

あなたは朝
太陽とともに目覚める
日を浴び
酸素と二酸化炭素を交換し
活力を感じて
あたらしい一日に歩みだす
あなたは夜
夜の暗さを楽しむ
照明を落とし
暖かいくぼみに横たわり
休息の祈りをささげ
回復のために
眠りにつく

灯台のてっぺんをすれすれにかすめて
戦闘機がやってきたとき
臆病な私は
闇夜を飛ぶ蝙蝠のように
ひらひらと逃げまどった
そんな夜が二度と来ないことを
私とあなた以外のだれが祈っているだろうか
私とあなたの祈りがつながるように
夜の祈りが人々にとどくことを願う
政治家に
資本家に
社長に
株主に
官僚に
武器メーカーに

巨大な建屋が水素爆発を起こして
きのこ雲を吹きあげたとき
無責任な私は
死んだ蛇を振りまわす子どものように
きいきいと叫び声をあげた
そんな朝が二度と来ないことを
あなたと私以外のだれが祈っているだろうか
あなたと私の祈りがとどくように
朝の祈りが彼らにとどくことを願う

木を植える人がいる
種をまく人がいる
作物を育てる人がいる
靴を修理する人がいる
服を縫う人がいる
野菜を売る人がいる
年寄りが子どもたちに教える
子どもたちが年寄りの手を引く
自転車が通りすぎる
挨拶がかわされる
味噌と醤油が貸し借りされる
病気の人に寄り添う猫がいる
風が木々の葉を揺らして通りすぎていく
太陽と星々のかがやきが人々に安心をもたらす

笑顔のあなたがそこにいる
風に揺れる樹木のように
そこにいるあなたを
私は見ている
そういう街に私は住みたい

11月の現代朗読体験講座のお知らせ(11月9日)

現代朗読協会の朗読体験講座、2013年11月のお知らせです。
まったく朗読をやったことがない/ちょっとやってみたいと思っている人や、すでに経験はあるけれど朗読表現に行き詰まりを感じているような方のためにおこなう、ワークショップ形式の体験講座です。

◎日時 2013年11月9日(土)14:00〜17:00
◎場所 現代朗読協会・羽根木の家(京王井の頭線新代田駅徒歩2分)
◎参加費 2,000円

※詳細とお申し込みはこちらから。

◎こんなことをやります
現代朗読というあたらしい表現を理解するために、実際に身体を動かしたり声を出したりして体験していただきます。
毎回、下のようなプログラムからいくつかをピックアップしてご紹介する予定です。

・朗読のための声と身体の準備。
・朗読するときに起こっているさまざまなことの理解。
・朗読のためのテキストの扱い方、読み方と、朗読実践。
・柔軟でとらわれない表現をおこなうためのヒント。

地方やお出かけが難しい方のためのオンラインクラス

私のやっている講座やワークショップのなかで、とくにオンラインクラスについて紹介します。

東京の羽根木の家に直接来にくい方のためにオンラインクラスをいくつか用意しています。
地方在住の方や、介護やお子さんがいるために出かけにくい方でも、学びのニーズを満たすのに最適です。
これは私が東京を離れているときにも、ネット環境さえあれば出先からやれるので、私にとっても都合がいいのです。

現代朗読ゼミ・オンラインクラス
 自宅にいながらにして現代朗読協会のゼミに参加できます。
 現代朗読ゼミ生として、朗読に関するすべてのゼミやワークショップに参加できます。

オンライン次世代作家養成塾
 テキスト(文章/文字)を使った自己表現を研究するためのオンライン講座です。
 扱うテキストは小説、随筆、詩、シナリオ、評論など、ジャンルを問いません。

音声表現スキルアップ個人セッション
 プロの「サバイバル」のための個人セッションです。
 オーディション前のチューンナップや、スランプのブレイクスルーにも大変有効です。
 プロ未満・プロ志望の方も申し込み可能です。

オーディオブックリーダー養成オンラインセミナー

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