1. 現代朗読には「ねばならぬ」はありません。
現代朗読には「……しなければならない」「……してはならない」という考え方はありません。
では、どうすればいいのか?
なにをするのか?
2. 現代朗読にはお手本はありません。
お手本を示す先生もいません。
現代朗読を体系化した水城は朗読者ではありません。
「こう読みなさい」ではなく「どう読みたいの?」という問いをつねに発していました。また、それぞれの期読者の自分でも気づかないポテンシャルを引きだす演出の専門家でもありました。
現在指導にあたっている野々宮は朗読家ですが、身体との向き合い方をベースに、水城と考案してきた「エチュード」をもちいて、自分の表現を「お手本」にしない指導法をとっています。
3. 現代朗読のベースは共感的コミュニケーションです。
現代朗読の表現も運営も「共感的(非暴力)コミュニケーション」というコミュニケーション・スキルをベースにしています。
ひとりひとりの存在のユニークさを大切にします。
だれかに自分のすぐれていることを誇示するのではなく、オリジナリティや存在そのものをただ提示します。
4. 評価(ジャッジ)を手放す。
現代朗読ではお互いを批評したり、評価したり、非難したりということは一切やりません。
お互いに受け止め、お互いがなにを大切にしているのか、そのことを尊重しあいます。
なので、安心してどのように表現してもいいですし、どのようなことも話していいのです。
5. なにを伝えるのか、なにが伝わるのか。
テキストの内容は結果的に伝わりますが、それが主目的ではありません。
現代朗読でもっと大切にしているのは、朗読している主体である自分自身のありようです。
6. 朗読は身体表現です。
口まわりももちろんのことですが、呼吸、姿勢、身体全体が表現のクオリティに深く関わっています。
現代朗読では自分の身体性に深く注目することを大切にしています。その注目と感受の深さが表現のクオリティを決定します。
7. マインドフルネスを練習します。
記憶、経験、回想、想像、計画、不安、評価といった思考をてばなし、自分がいまここにいること、自分自身とまわりのことに気づきつづけている状態のなかで、どのように自分が表現するのかを発見していきます。
8. たくらみを捨てる。
自分がどのように表現したがっているのかは、その瞬間にならなければわかりません。
あらかじめこう表現しようと決めて朗読するのは「たくらみ」であって、過去の自分の思念です。
それを手放し、偶有性の世界に勇気をもって踏みだしていきます。