祝祭の歌

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—– MIZUKI Yuu Sound Sketch #78 —–

  「祝祭の歌」

 その時 きみは見たか
 揺れ動くビルを
 くずおれる家屋を
 うなりをあげる電線を
 ひび割れる大地を
 波打つ海を
 押し寄せる海水を

 その時 きみは聞いたか
 人々の悲鳴を
 破壊の音を
 風を切り裂く音を
 地割れの響きを
 とまどいと
 怒りの声を

 悲劇の彼岸の
 それは祝祭だった
 大地の歌と
 ことほぎの踊りだった
 あらゆる命を呑みこみ
 死をもたらし
 それでも祝祭として
 大地は踊った
 なぜならそれは 何万年
 何億年とつづく 地のいとなみなのだ

 人が築いたほんの数千年の文明
 ほんの数百年の構造物
 ほんの数十年の技術
 大地の踊りの前に
 あっけなく崩れさった

 浅はかな技術が 大地を汚し
 世界に永く闇をもたらす
 そんなことすら 大地は気にも止めない
 悠久の時のなかで
 ゆっくりと激しく わずかずつ大きく
 ただ踊りつづけてきた

 私たちが見るのは 神の罰ではない
 私たちが聴くのは 大地の怒りではない
 私たちが見るのは ことほぎの踊り
 私たちが聴くのは 祝祭の歌

 私たちも また
 よろこびながら
 嘆きながら
 怒りながら
 悲しみながら
 ことほぎの踊りをおどり
 祝祭の歌をうたおう
 大地とともにあることを
 悠久の時の流れのなかで
 祝おう

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